DMSOの歴史

 

1966年にロシアのアレクサンドル・サイツェフというドクターがDMSOを発見しましたが、その90年後までは商業的な使用はありませんでした。1950年代、イギリスの科学者たちが細胞の冷凍保護剤として使えることを発見しました。DMSOを使うと、修復不可能な損傷を85%回避できるそうです。DMSOは細胞に対して無害であり、溶媒として使えることが同時にわかりました。その後、DMSOの研究で有名なヤコブ氏は、高度に生成されたDMSOは皮膚や臓器の膜を傷つけることなく浸透できることを発見し、経皮特性をより詳しく調べ始めました。DMSOは他の低分子物質を皮膚から浸透させることもわかりました。

 

また、当時世界最大だった製紙会社クラウン・ツェラーバッハ社はその有望な特性から、科学者のロバート・ハーシュラーにDMSOの更なる用途を研究するよう依頼しました。同社は製紙過程の副産物としてできるDMSOを大量に生産していた為、DMSOの可能性をもっと探ろうとしました。

 

研究中、ハーシュラーは、抗真菌剤と抗生物質がDMSOとブレンドされると、植物の循環系に浸透することを発見しました。アルコールやガソリン等の他の化学物質より、DMSOは更に特別でした。DMSOは植物の保護外膜を傷つけません。植物でそうであれば、人間の皮膚の場合にも同じはないかとロバートは考え、医薬品への応用の可能性を探りたくヤコブ氏に連絡をとりました。

 

ですが幸先悪いスタートを切ることになります。

 

1963年、オレゴン州の新聞社が特許情報を入手しDMSOの特性をセンセーショナルに報道した為、DMSOは科学雑誌で紹介されたり研究や事実証拠に裏付けされたりする機会を失くし、誇大宣伝されてしまいました。この時点で、10万人以上の患者で試験され、すべての研究で適切な量で使用されその毒性はゼロで会ったにもかかわらず、FDAはDMSOの研究に関わっている人々に嫌がらせを始めました。ヤコブ氏と研究室とオフィスは家宅捜査され、患者のカルテは令状なしでコピーもされ、ヤコブ氏自身もDMSOの安全性が不十分であると起訴までされてしまいました。

 

DSMOの安全性は証明されていたのに、動物実験においてたった1匹の動物の眼球の水晶体が曇ったというたった1件の事例が出たことで、FDAはDMSOの使用を禁止しました。水晶体が曇った動物ですが、DMSOの投与をやめると水晶体は正常に戻ったにも関わらずです。FDAがDMSOを完全に禁止したのは、1965年11月25日です。

 

何故FDAがDMSOを禁止したかについては、いくつかの憶測があります。当時サリドマイド事件が有名であり、その関係もあり慎重になっていたという説。他には、1つの製薬会社が独占特許を取得できない為(DMSOは天然化合物だから)、大きな利益が得られる可能性が少ないからというのもありました。ヤコブ氏はこのことについて、科学的というよりも経済的な理由からだと述べています。事実、ヤコブ氏はある大手製薬会社の重役から、DMSOの効果は知っているが彼らにとって利益(価値)はないと言われたそうです。製薬会社は利益が発生しない限り、それが有益であったとしても研究しようとはしません。

 

DMSOは誰でも手ごろな価格で手に入れることができます(アメリカでは)。溶剤として獣医学での使用は許可されています。FDAは馬への使用は承認しています。

 

中毒性のある医療品よりも、健康上の問題に対して安全な解決策が期待できるのがDMSOです。医療の選択肢を減らそうとしているこの世界において、DMSOは非常に有益です。

 

※アメリカでは以前は16オンス10ドル前後で買えましたが、2021年~からは値段が倍以上になりました。日本だとアマゾンで5000円以上で売られていますが、法人登録されている名前と住所があれば、日本でも薬品会社から500mlが2000円以下で買えます。